野生の思考〜シン・ウルトラマン〜
- 2022年6月26日
- 読了時間: 3分
更新日:2022年6月29日
仲の良い先輩がどうしても『シン・ウルトラマン』を観て欲しいと言うので、観てきました。そうしたところ、感想とか考察の前にどうしても言いたいことができましたので、まずはそのことから失礼いたします。
隣の席のおっちゃんがうるさくて、イライラし続け、1時間くらいしたところ「ちょっと黙ってください」と珍しく他人に言葉を発し・・キレてしまいました。
彼は映画の始まりからずっと日本の政治を風刺するような描写や間を駆使したギャグめいた描写に対して、いちいち遠慮なく「フン、フン」いう(笑う)わけです。周りで声を発している人など勿論いないし、笑うというよりは自らの頭の中での理解をいちいち体外に発しているといった模様。私はイライラし続けておりました。心の底から吹き出してしまったという感じではなく、家でくつろぐような感じで靴を脱ぎ、足を組み、鼻息を荒げ、時に頭を掻き・・、その奥の奥様?も何を言うことはなく・・はっきり言って邪魔。
ついにはクリアな日本の言語を口にしましたので、瞬間的に「ちょっと黙ってください」。躊躇なく私も言葉にして差し上げました。「ちょっと」がついている辺りに自分の気の弱さを感じます。
〜その後もフンフンは続きました・・〜
私は常識化された物事やルールに疑問を抱いたり、ちょっと外れた野生的な行為をとる人間は好きです。しかし公共の場というものには「マナー」というものがあります。マナーとは「公共の場」において、隣接する他者のスペースを侵さない最低限のルール・規範のことです。
〜「公共の場」とは家族や広義に友人といった関わりのある人々だけはなく、いわゆる“他者”と集い共存する場〜
明らかに破ってましたので、、自分は間違っていないはずです。周りの空気を汚すことなく、注意できる方法がないものか・・、そんなことを思いました。

さて!映画はとても面白かった。
斉藤工 氏演じる主人公が「著:クロード・レヴィ=ストロース , 訳:大橋保夫『野生の思考』」を“爆読”しておりました。この本は60年代フランス現代思想の中核を担った“構造主義の父”のような存在です。しかしながらこの映画のストーリー、思想に対する理解を深める上で重要な功績は、構造主義といった思想(思考)は二の次に、この本が残した「上等も下等もない」という反差別、平等、多様性といったメッセージではないでしょうか。
『野生の思考』は60年代前期、原始的な共同体生活を送る民族に向けて未開社会とか非文明的とか下等社会とか、といった無礼な言葉が横行する世の中で発表された“学術書”です。レヴィ=ストロースはいくつかの民族の婚姻関係を数学的な図式で示すことにより構造主義という方法論を確立するとともに、いわゆる「未開・非文明社会」が伝統ある「文明社会」であることをロジカルに証明したのです。
〜ことにより、フランス現代思想史は実存主義から構造主義へ移行してゆきます〜
地球人を信じ、他星人の侵略行為から人々を助けようとするウルトラマンの思想はまさにそれだったと思います。私はウルトラマン本家にまるで詳しくないけれど、地球外生物が地球を舞台に暴れ、地球外生物がそれを阻止しようと戦闘する異様な状況の証明として 庵野秀明 氏が出した答えだったのだと思う。
それにしてもこの本をあのスピードで読んでいた彼は、さすがは光の国の・・。いや、彼ですらあのスピードという意味で、この本の難易度が高いとみるか・・。
あ〜ぁ〜、長澤まさみ さんのにおい嗅ぎたいなぁ〜。。
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