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[詩] 一枚
一枚の絵をかきたい それは平和な人々の 一枚の絵をかきたい それは温和な歌々のような 晦渋な言葉はいらない 黯然なこころを知らない 一枚の絵 妖艶な響きもいらない しっ、 混沌とした空気もいらない 一枚の絵 一枚でいい 一枚で構わない 一番の一枚、 一枚の紙が...
[詩] 半月(はんげつ)
空の半月と その左っ側のほど良く小さな桜の枝々との 最もバランスのとれた立ち位置を探し、 左右しながら、 一層夜らしく灯った街々に気づくこともなく 私は老いてゆくのでしょうか。 川を斜めに架かる鉄橋がゆれ 電車が来ては、帰ってゆく そんな繰り返しのなかにすら溶け込めぬまま。...
[詩] 気配
気配の中に あなたはいる あなたの気配ではない 気配の中に、あなたはいる 鬱屈とした気合の中にあなたは潜む 倦怠した身体の中をあなたは泳ぐ 気配とは、視覚をもって 気配とは、臭いをもって 気配とは、聴覚をもって、 「気配」とは、、 空気の中に わたしはいる...
マイニチ思考
取り留めなく流れる 人の川に溺れて 理由(わけ)も分からずに、なにか生きている クロールまがいの動きで 溺れながらもがいて 安息の地をゆっくり離れてく 毎日辞めたい 毎日シンドイよ 毎晩泣きたい それでも歌っている 怠慢な同人達 集まっては喚(わめ)いて...
[詩] 曲線
あの曲が生まれた場所には 大きな岩塩が佇んで、 耐えない水滴を浴びている 鋭く尖った身体(からだ)の先端(さき)から 滴るしずくを地面に落とさず 掬いあげることができたとき、 あの曲は生まれたのです。 なんとも辛く、 なんとも優雅で、 とても甘美な、その曲線...
いのちの声
行方知れずの 昔の絵本に たぶん、描いて在る 声を探す 「君は何処(いづこ)?」いつもそれは 僕の愛と倦怠の中に疼く 涙なしには 絵画けない風景を 神の存在 なしに語れない 奇跡を 君に送る 文字に起こして 君に送る 天使に預けて だんだんと君は 淡々と暮れる日の光を...
夜風(原詩:中原中也『むなしさ』)
臘祭(ろうさい)の夜の 巷(ちまた)に堕(お)ちて 心臓はも 条網(じょうもう)に絡(から)み 脂(あぶら)ぎる 胸乳(むなぢ)も露(あら)わ よすがなき われは戯女(たわれめ) 夜風よ 夜風よ 夜風よ 夜風よ せつなきに 泣きも得せずて...
部屋の中
息も切れ欠けの 身体の奥から 沸き上がる声に 耳を背けたい 他所を見れば 楽しそうなヒト あの街を出てくと決めた時 どんなでも こんなでも 泣かないさ、と決めてたさ この街の彩りに染まれずに 部屋の中 部屋の中 部屋の中 春は年を取る 夏は電気代 秋を寝過ごして...
これは、笑う猫と僕の夜の話
一日中 働いた 帰りの道に いつももいる 今日もいる 鳴いている 靉靆(あいたい)とした景色 街灯が射し込めば 君がいる そこにいる 丸い影法師 待っていてくれてるような いないような これは、笑う猫と僕の夜の話 モノクロの 色のまま 背筋を伸ばして...
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