あの曲が生まれた場所には
大きな岩塩が佇んで、
耐えない水滴を浴びている
鋭く尖った身体(からだ)の先端(さき)から
滴るしずくを地面に落とさず
掬いあげることができたとき、
あの曲は生まれたのです。
なんとも辛く、
なんとも優雅で、
とても甘美な、その曲線
絡まり合って、織りなされ、
形をなして、歌われて、
つづいて、つづいて、来たのです。
あの一瞬、ささやかな閃きが
幾年もを生き継いだ、幾多の人の生命の、
まるで全てであるかの如く
今日もまた、歌われるのです。
2022.1.31
※歌なし、詩。
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