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夢売り
※(『夢売り』金子みすゞ) 年のはじめに 夢売りは、 よい初夢を 売りにくる。 たからの船に 山のよう、 よい初夢を 積んでくる。 そしてやさしい 夢売りは、 夢の買えない うら町の、 さびしい子等の ところへも、 だまって夢を
おいてゆく。 (※1) 年のはじめに...
帰り道
とりあえず 甘いやつを 買って微笑んで 眺めの良い 河原なんかに 向かい歩こうか 人知れない 努力なんかの 話で盛り上がり 認め合う 二人なんだと 深く頷いて 遠くまで 君の笑い声 ケタケタと 夢心地 僕なんかは 軽く 空の果て 向こう岸 渡る橋の上 風の吹き...
行方
「僕はゆくよ」 螺旋状につらぬく階段 登ってばっか 転げてばっかの 人生が汚れた瞬間 覚えてないわ 覚えてなんか いられない くらいに 上昇する気流乗っかれ 一言 一言 余計なくらいが たぶん わりかし「らしさ」が出るもんで 気を抜けば あれあれあれよと ドバドバ出てくる...
近頃の若人はとりあえずのビールが通用しない
妙に冷めてモノ言う輩ばっか 意地汚ならしくて悲しい 飲みの席も湧かない話ばっか どちらもこちらも侘しいね あ〜、孤独感 必要? 熱血感 人間味 もう〜、説得力ってなぁ〜に? 駆けずり回る あの日の僕たちは 今にも弾けそうで 全てが(笑)える話に変わって...
[詩]雨の日
雨の日 彼女の言葉は品やかで 雨の日 私は知らない強かさを知った 二人の強さには 品があり 二人の強さに 生はない そう思う自らの幼さを、 どこかで切望してしまう —あってたまるものか!— と、 好き、とは? と。 雨の日 彼女はおおらかに微笑んでいて...
[詩] 白昼夢
最近見た夢は すぐそこにあって、ここにない 遠い遠い世界の話 はるか先の思考の末端 一つの答えと一つの終わり 最近見た夢は 紫外線に乗っかって、目の前に咲(ひら)く 遠い遠い光の寓話 遥か古代の人間の心 宇宙の真理と神の方便 今、全てが白くなる...
穀物
君には遥かな 空を与えよう 君には遠い 海を与えよう To,, To,, To,To,, 空の先まで To,, To,, To, To,To,To,To, 海の底まで 君には雄大な 大地を授けよう 君には壮大な 夢を託そう To,, To,, To,To,, 声の先には...
[詩] 一枚
一枚の絵をかきたい それは平和な人々の 一枚の絵をかきたい それは温和な歌々のような 晦渋な言葉はいらない 黯然なこころを知らない 一枚の絵 妖艶な響きもいらない しっ、 混沌とした空気もいらない 一枚の絵 一枚でいい 一枚で構わない 一番の一枚、 一枚の紙が...
[詩] 半月(はんげつ)
空の半月と その左っ側のほど良く小さな桜の枝々との 最もバランスのとれた立ち位置を探し、 左右しながら、 一層夜らしく灯った街々に気づくこともなく 私は老いてゆくのでしょうか。 川を斜めに架かる鉄橋がゆれ 電車が来ては、帰ってゆく そんな繰り返しのなかにすら溶け込めぬまま。...
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