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静かさの中で

※(大野百合子「静かさの中で」1908-1938)

※ (※×2):それぞれ「高い」「きれい」を繰り返し。原詩は繰り返さない。


 珍らしく暖かいので

 妹をつれた私は 

 かなり歩いてしまつた

 小さい山の斜めに坐ると

 まだ青くならない草と土の馨りがする


 空はどうしてこんなにも 高い(※×2) のだらう


 風はそんなにつめたくもなく吹いて来る

 私は深い静かさにつゝまれて

 思ふともなく

 見るともなく

 いつまでも坐つてゐた


 私は私の心が きれい(※×2) になつて


 静かなものにまざまざと触れなにか知りたいと思つてゐたことをはつきりと

 知つた気がした

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