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[詩]マールボック


 朝の目覚めは 耳から始まる

 窓際のベッド びしょびしょのシーツ

 溺れかけたスマートホンが 私に告げる

 「地下鉄は止まらない」

 

 いつものバッグに、喚く風雨(ふうう)を押し込まれ

 一層重たくなった身体を引き摺って トボトボトボトボ溺れれば

 お金がもらえるユートピア

 

 お昼を告げるチャイムが鳴るころ

 やむのか、やまぬのか・・・やみかけの

 さすか、ささぬか・・・狭い歩道は、

 気取った鳩が堂々ふさぐ

 

 あぁ まだ渇かない靴と、靴下と、ズボンと・・・

 意地悪な空模様。 冷たい風じゃ、乾かない

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存在・証明

なんで哭(な)いてんだ 夢みたいな日に 誰かしらの歌みたいだって思う 君は知ったんだ 重なるごとに 割と本気だったんだって気づく 今日を損して 明日も損する そんな冷酷無情な輪廻が いつも絡んで いつも絡んで くる 君はそこで歌う火を覚えて 君はそこで歌に怯えた 底が抜けたよな天(そら)の陽射しに 干涸びて、枯れて、腐れ散る 「存在」・・願い未だ届かずに 「証明」・・願う其処(そこ)に在られ! 曇

ツキのヨ

あなたに会えて しまう 慵(ものうい)街が 沈む 曙光(しょこう)の中に 浮かび 夢の扉を 開ける ヂャズの流れる 喫茶店 まるで、空っぽの映画…感 円く広がる ヒカリ ここが「ツキ」だと 気付く 浮かぶ軀に 実(み)を委ねて また漂って また暮れるのかい…? 珈琲淹れる 音が 「君は誰か?」と 嘯(うそぶ)く 馬鹿になれない 心地 悪くなれない 居心地 これを冷ませば 今、目覚めれば 遠い記憶と

傷跡

ここには要らない ここにも要らない 余計な物事 ここでは要らない 汚れた砂浜 綺麗な心で その日の陽射しに 伸ばす手のひら 手のひらを火傷して 傷跡をまた増やす 街なりの緑が 歩道を揺らす 元気でいるかな? 誰のことだか? 変わり映えしないのは 才能かもしれない けれども、ここから 変わるものさえ知れない 手のひらを火傷して 傷跡をまた増やす 傷跡を握りしめ 思い出の戸をたゝく 並ばれた文字の奥

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